髪は長い友達 その6 ~養生法【後編】~

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今回は、「髪は長い友達」シリーズの最終回です。

前回の養生法は、睡眠の大切さについてお話ししました。

今回は、髪に良い食物をご紹介いたします。

 

◆古代中国から重視されていた「医食同源」

このブログの中でよく紹介している、
世界最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」。

「素問(そもん)」と「霊枢(れいすう)」という
二部構成になっていて、
東洋医学のバイブルともいえる珠玉の名著です。

このうち、「素問」は東洋医学の基礎となる生理学や病理学、
養生法について述べられており、
人間と自然・飲食物との調和の大切さを説いています。

その「素問」には、以下のような記述があります。


穀物は五臓を養い、果物は五臓の働きを助け、
肉類は五臓を補い、野菜は五臓を充実させる。

そして、身体の状態に応じてこれらをバランスよく摂れば、
気力も体力も充実し、健康でいられる。


これを一言でいうと、「医食同源」という4文字で
表すことができるでしょう。

中国では、紀元前400年頃には、
すでに「食医(しょくい)」という資格が設けられており、
飲食物の栄養に関する研究が盛んに行われていました。

紀元前400年は、日本でいうと弥生時代の始まりのころです。
この頃からすでに現代でいう栄養士のような資格が
設けられていたとは、本当に驚きです。

 

◆飲食物が持つ「作用」

基本的に、どんな飲食物でも
身体の状態を変える「作用」を持っています。

例えば、夏の飲食物であるスイカや麦茶。

スイカや麦茶は、身体を冷やす作用が備わっています。
もし、麦茶を温めて飲んだとしても、
麦茶自体の性質が「寒冷」であるため、
身体は冷えてしまうのです。

だから、夏に飲食されるのですね。

しかし、最近は季節にかかわらず
どんな飲食物も口にできるようになりました。

特に、飲み物はペットボトルの普及で、
真冬でも麦茶を手軽に飲むことができます。

その影響も大きいのでしょう。
不妊治療にお越しになる患者さんの中には、
「麦茶はノンカフェインだから毎日飲んでいる」
という方が少なくないのに驚かされます。

不妊症は、冷えが原因となっていることが多々あります。
「ノンカフェインだから」と、
ご自身の身体を冷やしてしまう行為を
してしまっていたのですね。

昔の人は、飲食物の持つ性質を経験を通して学び、
医学の知識がなくてもそれを生活の中に取り入れていました。

現代の西洋医学は、目覚ましい発展を遂げ、
様々な疾患から私たちを救ってくれましたが、
上記ような生活の知恵を
医学から全く切り離してしまったことは
私たちにとって大きな損失となっていると言えるでしょう。

大自然の恵みの中で生きてきた私たち人間は、
古代から「医食同源」を生活の中で体現してきたのです。

ですから、
飲食物それぞれが持つ性質をきちんと理解して、
そのときの身体の状態や季節を考慮して食事ができれば、
病気にかかる確率はかなり低くなります。

 

◆髪に良い食べ物

では、これから髪に良い「肝と腎を補う食べ物」をご紹介します。

「医食同源」を実践して、身体と髪の健康を手に入れてください。

○肝を補う効果がある飲食物
 牡蠣(かき)、なつめ、クコの実、レバー、にんじん、鶏肉・鶏卵、トマトなど、
 ※牡蠣となつめ・クコの実は、漢方薬として肝の陰血不足の症状に用いられます。
  にんじんは、胃腸の働きを助け、肝に作用して血を養い、免疫力を高めます。
  鶏肉・鶏卵は「肝」「腎」を補い、造血作用を高めます。
  また、トマトは肝臓のコレステロールを減らす効果もあります。

○腎を補う効果がある飲食物
1.黒い色の食べ物 : 黒ゴマ、黒豆、黒米、きくらげなど
 ※黒い食べ物は、腎を補いながら、血液を増やしたりサラサラにする効果もあります。
  特に、黒ゴマは髪の維持や便秘の治療薬として重宝されてきました。
  不妊に悩む女性以外の方にも、とても良い食べ物と言えます。

2.海産物 : あわび、カキ、はまぐり、わかめ、昆布など
 ※海の底に沈んでいる海産物は、
  身体の下のほうにある臓器(腎)に作用します。
  薬効も底のほうに行くということです。
  補腎効果があるため、不妊症にも適した食材です。  

3.「精」のつく食べ物 : クコの実、ニンニク、ニラなど
 ※「精」とは、毛髪の根となる腎精のことです。
  クコの実は「不老長寿の神薬」として漢方薬や薬膳でも重宝されています。
  ニンニクは、優れた強壮作用があることで知られています。
  どちらも、精がつきすぎて修行に支障をきたすため
  古代の中国では僧侶が食べるのを禁じられていたようです。
⇒クコの実に関しては、以前に書いた以下の記事を参考にしてください。
クコの実~不老長寿の神薬~【前編】
クコの実~不老長寿の神薬~【中編】
クコの実~不老長寿の神薬~【後編】

髪は長い友達 その5~養生法【前編】~

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今回は、「髪は長い友達」シリーズの5回目です。

前回お話した「肝は血を蔵する」という機能に絡めて、
髪の毛の養生法のお話をしたいと思います。

 
◆肝に血液をたくさん戻して良質な睡眠を取る

夜になると、
血液は肝に戻って睡眠の準備に入ります。

夜は、休息するために身体の活動が低下し、
少量の血液で身体を維持することができるからです。

そのため、肝に蔵される血液の量が一番多くなるのは、
眠っているときということですね。

このように、大自然のサイクルに合わせて
人間の身体の中も変化が起きています。

そして、午前1時までに深い睡眠に入れるような
生活サイクルを作ると眠りが深くなり、
良質な睡眠が取りやすくなります。

なぜでしょうか…。

中医学に「子午流注(しごるちゅう)」という理論があります。

簡単に言うと、人間の臓腑につながる12の経絡には、
それぞれ気が流れる時間帯がある、という考え方です。

この理論では、肝の経絡に気が流れるのは、
午前1時から3時の2時間とされています。

そして、その時間帯までに眠りについて、
より多くの血液を肝に戻しておくと、
肝の経絡の気は伸び伸びと流れることができる
のです。

その結果、深く眠ることができるんですね。

そして、肝に戻った「余った血液」で
髪を十分に潤すことができます。

 
◆髪を修復する「成長ホルモン」の分泌

西洋医学的にも、
午前1時までに深い眠りにつける時間に布団に入るのが
身体のみならず髪の健康にもよいのです。

それは、「成長ホルモン」の分泌量が
最大になるのが午前1時
だからです。

「成長ホルモン」は、
新陳代謝を活発にし、疲労を回復させ、
自然治癒力を強化させる役割を持った
大切なホルモンです。

睡眠中に分泌され、
眠りが深いほどたくさん分泌されます。

そして、髪や肌を含め、
身体を寝ている間に修復してくれるんです。

「成長ホルモン」と聞くと、
子供の身体を成長させるホルモンというイメージが強いですが、
大人にとっても大切な働きをしているんですね。

髪は、健康のバロメータ。
抜け毛や枝毛、白髪が気になりだしたり
「最近髪が細くなった」なんて感じている方は、
まずは布団に入る時間を調整してみてはいかがでしょうか。

 
◆午後11時までに布団に入るのが理想

「成長ホルモン」は、眠りについてから
約2時間で分泌されます。
そして、分泌のピークが午前1時。

さらに、肝の経絡に気が流れるのは、
午前1時から3時までです。

だから、午前1時の2時間前の午後11時には
布団に入れると、理想ですね。

大人は身体の成長が止まっているので、
ただでさえ成長ホルモンの分泌量が減っています。

だからこそ、少しでも多く分泌されるように、
良質の睡眠をとることを心がけてくださいね。

次回は、髪に良い食べ物をご紹介いたします。

髪は長い友達 その4~髪と血液【後編】~

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

「髪は長い友達」シリーズも、今回で4回目となりました。

前回は、髪と血が密接に関係している
というお話をしました。

「血は毛髪を養う」「髪は血の余り」
言われているんでしたね。

今日は、もう少し掘り下げてお話したいと思います。

 

◆肝の「蔵血機能」

中医学では、「血は肝に蔵される」とされています。
肝には「蔵血機能」があり、
平常時は身体の機能を保つためには必要のない
余った血液を貯蔵しているんです。

ちょうど、急に資金が必要になった時のために
銀行に貯金しておくようなものですね。

そして、激しい運動をしたときのように、
体に大量の血液が必要になると、
肝に蓄えられていた血液が血管に行き、
使われることになります。

運動したときに心臓の鼓動が速くなるのは、
身体に血液を大量に送るためなんです。

運動を終えると、余った血液は肝に戻って
再び貯蔵されることになります。

と、言うことは、「余った血」を蓄えている肝と
「血の余り」である髪とは、
非常に密接な関係にある
ということです。

 

◆肝と精神活動のかかわり

中医学の肝は、
思考活動や精神活動に深く関わるとされています。

肝機能が正常であれば、人間の思考活動・精神活動は安定し、
精神が安定していれば、蔵血機能をはじめとする肝機能は
のびのびとその役割を果たすことができるんです。

しかし、深く考え込んだり、
ストレスにさらされる状態が長期にわたって続くと、
肝に蔵されている血にまで影響が及んでしまいます。

そして、肝に蓄えられた血量が少なくなると、
イライラや不眠といった精神症状に加え、
抜け毛など髪のトラブルが起こりやすくなるのです。

ストレスが原因で「髪が白くなった」とか
「抜け毛が増えた」なんて話をよく聞きますよね。

それは、上記のような原因が大いに考えられるのです。

やはり、気持ちの安定というのは、
身体にとって大切なんですね。

 

◆クコの実

もし、あなたが上記のような状態に当てはまるとしたら、
以前このブログでご紹介した「クコの実」を
食べてみるのも良いでしょう。

クコの実の薬効の一つである「養血明目」とは、
「肝臓に溜められている血液の量を補う(養う)ことで
目の機能を回復させる」
という意味です。

つまり、「血の余り」の量を多くしてくれる
ということです。

目にも髪にも良いし、しかも肝機能も整えてくれるので、
気持ちの安定にもつながります。

さらに、クコの実には「滋補肝腎」という
効果もありました。

髪に深く関係する「肝」と「腎」を
両方補う作用がある
ということです。

腎は「毛髪の根となる」とされる精を蔵しています。
そして、肝は「毛髪を養う」とされる血を蔵しています。

やはり、クコの実は魅力的な食材ですね。

是非、お試しください。

参考↓

クコの実 ~不老長寿の神薬~【前編】

クコの実 ~不老長寿の神薬~【中編】

クコの実 ~不老長寿の神薬~【後編】

髪は長い友達 その3 ~髪と血液【前編】~

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

さて、今回は「髪は長い友達」シリーズの3回目です。

前回は、「精は毛髪の根となる」とお話しました。
腎に貯蔵されている「精」は、毛根を滋養して髪を成長させ、
ツヤを与えているのでしたね。

しかし、髪を養っているのは「精」だけではないんです。
もう一つは、女性にとって最も大切な「血」です。

 

◆髪は血の余り

中医学では「血は毛髪を養う」と言われています。
髪の成長やツヤは、血液の滋養も欠かせないんですね。

さて、漢方の止血薬(出血を止める薬)に
「血余炭(けつよたん)」という薬があります。
鼻血や吐血、不正性器出血などによく用いられる薬です。

実はこの「血余炭」、
人間の髪の毛を加熱して炭化させたものなんです。

中医学では、「髪は血の余り」と言われています。
「血の余り」である髪を炭化させたものだから「血余炭」。
分かりやすいですね。

そして、
この「髪は血の余り」という言葉から分かるのは、
体内に血の量が十分にあるときに、
その余った血で髪を滋養・成長させる
ということです。

要するに、体内の血の量が不足していて
臓器や目などの各器官を十分に滋養できないと、
髪に血をまわす余裕がなくなる
んですね。

すると、必然的に髪が細くなったり白髪が増えたり、
ツヤが失われたりします。

次回は、もう少し詳しく「髪と血液」について
お話しようと思います。

髪は長い友達 その2 ~女性と髪~

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

さて、今回は「髪は長い友達」の2回目です。

前回、髪に最も関係が深い臓器は「腎」だとお話しました。
髪は腎に貯蔵されている
「精(腎精)」によって養われているからです。

もっと正確に言うと、
中医学では「精は毛髪の根となる」とされています。
「精」は、毛根を滋養して髪を成長させ、
ツヤを与えているということですね。

このブログで何度かお話しましたが、
腎は「精」という生命エネルギーの
「おおもと」ともいえる体内物質を
貯蔵する役割を持っています。
(だから、精のことを「腎精」とも呼びます)

この「精」が腎にしっかりと貯蔵されていれば、
ツヤのある丈夫な髪が維持できるんですね。

ですから、「最近髪が細くなった」とか
「白髪が増えた」「抜け毛が増えた」と感じている方は、
腎精の消耗が進んでいる可能性が高いということです。

◆男女の「生命プロセス」の周期の違い

①中国最古の医学書の記述

テレビのコマーシャルで
「女性は7の倍数、男性は8の倍数で身体に変化が訪れる」
なんて言葉を聞いたことはありませんか?

これは、実際に中国最古の医学書
「黄帝内経(こうていだいけい)」の
「上古天真論(じょうこてんしんろん)」という
一番初めの篇に記載されている言葉なんです。

「上古天真論」という篇名は、
中国古代の伝説上の王である黄帝(こうてい)と
伝説上の有名な医家である岐伯(きはく)の
以下のような問答から始まることに由来します。

○黄帝の問い
上古(昔)の人は100歳になっても動作が衰えなかったのに、
今は50歳くらいでみんな衰えてしまうは何故か?』

○岐伯の答え
上古(昔)の人は、天真(天地自然の真理)に基づく
正しい暮らし方を知っていたからです』

つまり、黄帝内経の始まりである「上古天真論」には、
上古の人の養生法が記載されているんですね。

 

②女性の生命プロセスの周期

さて、その「上古天真論」には、
女性の「生命プロセスの周期(身体の変化)」に関して、
以下のような記載があります。

『女子は7歳になると腎気が満ち始め、歯が抜け替わり髪もしっかりしてくる。
 14歳で天癸(てんき)が成熟し、初潮を迎える。
 21歳で腎気が満ち、身長が十分伸びる。
 28歳で筋骨が成熟し、髪も豊かになり、最も身体が強壮な時期になる。
 35歳で顔に衰えが見え始め、髪も抜け始める。
 42歳でしわが出始め、白髪が出てくる。
 49歳で天癸(てんき)が尽きて、閉経を迎える。

上記の記載の中で、キーワードとなるのは、
「天癸」という単語です。

「天癸」とは
生殖機能の成熟を促す物質のことを言います。
西洋医学的に言えば、
性ホルモンのようなものです。

そして、これは初めにお話しした
「腎精」が産生するものとされています。

つまり、女性が14歳になると、
腎精のエネルギーによって
天癸が成熟して妊娠する能力が備わり、
腎精の消耗によって49歳で天癸が尽きると、
妊娠能力が失われる、ということです。

要するに、上記の「生命プロセスの周期」とは、
「腎精」の盛衰を表していると言えますね。

もっと言えば、
「腎精の消耗=老化」ということです。

そして、顔や髪の衰えといった
老化が始まるのが35歳からですから、
やはり35歳が「高齢出産」と呼ばれる
節目の年齢となります。

西洋医学の考えとも
マッチするところがありますよね。

 

③女性が腎精を消耗するとき

通常、女性が最も「精」を消耗するのは、
妊娠・出産のときです。

まさに、お腹の中に身ごもった我が子に、
自らの精を分け与えているからです。

妊娠・出産後に白髪が増えたり、髪が抜け出すのは、
精を子供に分け与えた分、
自分の精が少なくなっているからなんですね。

だからこそ、女性は精の消耗を
できる限り避けなければなりません。

我が子に分け与える精が不足していれば、
不妊の原因にもなってしまうからです。

しかし、現在の日本では、
「不平等な男女平等」がまかり通っています。
※「不平等な男女平等」については、後日このブログでお話いたします。

そのため、女性の精が消耗する事態が
とても多くなってしまっています。
例えば、過度な運動、仕事・対人関係等のストレス、
昼夜逆転の生活、慢性的な睡眠不足などです。

男性と同じ条件で仕事をしている女性の皆さん、
皆さんの努力は並大抵のものではないでしょう。
男性には到底想像できないほどのつらい思いをしながら
頑張っていらっしゃることと思います。

女性の皆さんに、心から敬意を表します。

ただ、願わくば、
ご自身のお身体の声に耳を傾けることも
忘れないでくださいね。

髪のツヤや太さ・量は、
精の消耗度のバロメーターです。

髪に変化が出てきたときは、
早めにお身体のケアをすることを
お勧めいたします。

次回からは、「髪と血液」についてお話いたします。

髪は長い友達 その1 ~プロローグ~

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今日から、何回かに分けて
髪の毛に関するお話をしたいと思います。

昔から「髪は女性の命」と言われていますが、
それは男性にとっても同じ・・・。

実は、私も約15年前、突然の脱毛に悩まされ、
ショックのあまり半日寝込んだことがありました。

昔、発毛剤のCMで
「抜け始めて分かる、髪は長い友達」という
コピーがありました。

これ↓
https://www.youtube.com/watch?v=MgAN92U1kyk

子供ながらに「うまいなぁ」と思っていましたが、
まさか自分が20代後半でそれを実感することになろうとは
思いもしませんでした…。

 
「髪が抜けてしまったらスキンヘッドにすればいい」
なんて思っていた自分が、
いざ抜け始めるとこんなにショックを受けるのかと、
自分でもびっくりしたのを覚えています。

そのときの原因は、過度のストレスでした。

「髪の悩みは、まさに不毛・・・」

そんな風に思って必死に生活改善を行い、
何とか自分の髪を残すことができました。

男性にとっても、髪は命なんですね。

ところが、最近は、男性のみならず多くの女性が
男性と同じように「抜け毛」に悩んでいます。


これも、女性の心身に過度に負担がかかる現代社会のあり方が
根本的な原因ではあります。

ただ、髪についてしっかりと理解をした上で
ケアをしていけば、脱毛は防げるものなのです。

このシリーズでは、主に中医学的な観点から
髪についての説明をいたします。
皆さん、参考になさってくださいね。

 

◆髪は腎の華

まず、髪の毛が最も関係する臓器は、「腎」です。
中医学最古の医学書である
「黄帝内経(こうていだいけい)」にも、
「腎の華(はな)は髪にある」という記載があります。

髪には、腎の状態が反映されるということです。

僕自身、患者さんの腎機能の状態を診断する際、
必ず髪のツヤや太さ、その色や量などを
望診(ぼうしん:見て診断すること)します。

腎機能が疲れて消耗してしまう生活をしていると、
髪の毛はツヤがなくなり、
細く抜けやすくなってしまうんですね。

例えば、過度な性生活や寝不足、
塩分の摂りすぎ、栄養不足などです。

また、年齢を重ねるごとに
誰しも腎機能は低下してしまいますから、
加齢による白髪や脱毛は、ある程度仕方のないものです。

ただし、それも生活改善により腎機能を維持することで、
人よりも遅らせることが可能です。

次回から、もう少し詳しく髪についてお話していきます。

クコの実 ~不老長寿の神薬~【後編】

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

「不老長寿の神薬」シリーズも、今回で最後となります。

中編でもお話しましたが、
中医学では、クコの実は主に
「滋補肝腎(じほかんじん:肝と腎の機能を補う)」
「養血明目(ようけつめいもく:血を補って目の機能を回復する)」
という効能があるとされています。

今回は「養血明目」について説明します。

 

◆クコの実は、女性の味方

「肝と目は、とても深い関係がある」ということを
聞いたことはありませんか?

これ、実は中医学の考え方なんです。
専門用語では
「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言います。

鍼灸で治療に用いる「経絡(けいらく)」とは、
各臓器の作用を全身に及ぼしたり、
経絡に与えられた刺激を臓器に伝える役割を果たす道です。

そして、肝の経絡(肝経)は、
足の親指の先端から下腿の内側を上って肝とつながり、
さらに上に行って目を通り、
頭のてっぺんまで流れています。

中医学では、肝は血液を溜める働きを持っていて、
その血液は肝経を通って目に送られ、
目を滋養しているんです。

つまり、
肝臓が肝経を通じて
目にキチンと血液を送りこむことができれば、
目は正常に機能するということです。

クコの実の薬効の一つである「養血明目」とは、
「肝臓に溜められている血液の量を補う(養う)ことで
目の機能を回復させる」
ということなんです。

こうなると、血液を毎月体外に排出するサイクルを持つ女性に
ドライアイが多いのも分かりますよね。

また、栄養学的にも白内障に有効な「ゼアキサンチン」や
眼精疲労回復効果のある「カロチン」が
クコの実に含まれています。

ドライアイや生理不順に悩む女性にとって、
クコの実は心強い味方になってくれます。

お試しになってみてください

クコの実 ~不老長寿の神薬~【中編】

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今回は、「不老長寿の神薬」たるクコの実の中編です。

中医学では、クコの実は主に
「滋補肝腎(じほかんじん:肝と腎の機能を補う)」
「養血明目(ようけつめいもく:血を補って目の機能を回復する)」
という効能があるとされています。

この2つの効能のうち、
今回は「滋補肝腎」について説明します。

 

◆アンチエイジングに最適な「滋補肝腎」の効能

腎の機能については、
「イヤホンの音量は控えめに!」
のシリーズでも触れました。

中医学では、「腎は精(せい)を蔵す」と言われています。

この「精」は、この世に生を受ける前の段階で
両親からもらい受けるパワーのようなものです。
そのため、「先天の精」という呼び名もあります。

これは、人体そのものを構成し、
各機能を支える基本物質です。
つまり、生命エネルギーの「おおもと」とも言える
大切な体内物質ということになります。

また、髪や歯・骨髄生成の基となり、
脳を養い、耳の機能を支え、
人間の生長壮老(せいちょうそうろう)に
大きく関わります。

生長壮老とは、つまり
「生まれる→成長する→盛りを迎える→老いる」
という人間が生まれてから辿る
成長・老化の過程のことです。

ですから、
この腎機能を低下しないように維持することが、
アンチエイジングにつながります。

また、肝と腎は「互いに補い合う」という意味の
「肝腎同源」という言葉があるくらい
密接な関係があります。

つまり、腎が弱くなったら、
それを肝が補って腎を助け、
反対に肝が低下したら、腎が肝を助ける・・・。

肝と腎は、まるで夫婦みたいな関係ですね。

ということは、肝を補うことも
間接的に腎を補うことになりますので、
「アンチエイジング」につながることになります。

肝機能が強ければ、
腎機能が弱くなっても肝が補ってくれるので、
腎機能を維持できますからね。

このクコの実は、
肝も腎も両方補う効能を持っているから
「アンチエイジング」に最適なのです。

さらに、クコの実は、
同じ「滋補肝腎」の効能がある漢方薬の中でも、
その作用がズバ抜けて強いので、
「不老長寿の神薬」という
何ともありがたい別名までついているんです。

毎朝毎晩10粒ずつ、是非食べてみてください。
西洋医学の薬のように、
すぐに目に見える効果は出ませんが、
食べ続けると若々しさを維持することが出来ます。

ちなみに、
僕も「年齢よりも若く見える」と、よく言われます。
うれしハズカシですね。

 

※肝の機能については、次回詳しくお話いたします。

クコの実 ~不老長寿の神薬~【前編】

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今日は、漢方薬のお話をしたいと思います。

皆さん、「クコの実」ってご存知でしょうか。

そう、杏仁豆腐の上に乗っかっている、
あの小さな赤い実です。

あれ、実は漢方薬の中でも「不老長寿の神薬」とまで
言われている優れモノなんです。

 

◆クコの実は「天が人類に与えた宝」

クコの実は、
中国では「枸杞子(くこし)」という漢方薬として
2000年以上昔から重宝されています。

中国最古の薬食物書である
「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」という古典でも、
「長期間服すると、筋骨が強くなり、身が軽くなって不老となる」
と書かれています。

また、5000種類にも及ぶ漢方薬の中でも
朝鮮人参・高麗人参と並んで「上品(じょうほん)」とされ、
薬膳料理にも多用されています。

ちなみに、「上品」とされる漢方薬は142種類のみで、
「命を養うことを主とし、無毒で長期間服用しても害がなく、
身を軽くし体力を益す不老長生の薬」
とされています。

朝鮮人参や高麗人参は、ほとんどの方が聞いたことのある
有名な漢方薬ですよね。
クコの実は、それに匹敵する優れた薬効があると
されているのです。

「クコの実は天が人類に与えた宝である」
と言う人もいるほどです。

 

◆クコの実の食べ方

毎朝・毎晩10粒ずつ長期にわたって食べ続けると、
とても健康によいです。

また、一度に大量に食べても害はありませんが、
毎朝・毎晩10粒ずつ食べ続けるのと、
効果もさほど変わりません。

100グラム800円くらいするものなので、
適量をコンスタントに食べた方が、
経済的にも優しいですよ。

また、クコの実は形はレーズンに似ていますが、
若干固い食べ物です。

歯が丈夫ではないご高齢の方が食べる場合は、
以下のように「クコ茶」にして召し上がることを
お勧めします。

<クコ茶>
茶碗にクコの実を10粒入れ、
そこにお湯を注いで4~5分ほど待つ。

お湯の中でクコの実が柔らかくなるので、
クコの実の成分が出ているお湯と一緒に
実を食べる。

 

◆クコの実の注意点

クコの実は、害のない「上品」に属する食べ物ですから
子供に食べさせても問題はありません。

しかし、子供があまり食べ過ぎると
性欲が強くなることがありますので、
ほどほどにしてください。

強壮薬としても非常に優れた作用を持っているため、
古代の中国では修行僧はクコの実を食べるのを
禁じられていたようです。

 

次回からは、クコの実の持つ効能を
ご紹介していきます。

イヤホンの音量は控えめに!【後編】

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

前回から、「久聴(きゅうちょう)」について
お話ししています。

「久聴」は、
中国の「益齢単(えきれいたん)」という
健康維持法の専門書に記載されている
長い間やり続けると健康を損なうとされる
6つの行い「六久(ろくきゅう)」の一つでした。

「久聴」とは、すなわち
「長時間聴きすぎる」という意味です。

そして、その「久聴」は
「精気と心神を損なう」と記されています。

今回は、「心神」についてお話します。

 

◆久聴は心神を損なう

「心神を損なう」とは、現代語に翻訳すると
「精神の安定を損なう」という意味です。

では、なぜ「久聴」で
精神の安定を損なうのでしょうか。

中医学では、血液の働きは「全身の滋養作用」と
「精神安定化作用」の2つがあるとされています。

滋養作用は、西洋医学と同じ考え方ですね。
全身の各器官に栄養を送り届ける役目のことです。

一方、「精神安定化作用」は中医学独特の考え方です。

中医学では、
血液は「精神活動の基本物質」と言われています。

つまり、怒ったり、泣いたり、笑ったり、悩んだり、
といった精神活動は、血液を燃料として
血液を消耗しながら行っているということです。

だから、
身体の中に十分な血液があることで精神は安定し、
正常な精神活動を行えるんです。

毎月、生理として
体外に血液を排出する宿命を背負った女性が、
男性よりも精神的に不安定になりやすいのは、
実はこのためだったんですね。

そして、この血液と、「久聴」で損なわれる精気は、
不足するとお互いに補い合う関係にあります。

つまり、「久聴」で精気が不足すると、
血液が精気に変化して精気を補うということです。

この関係を
「精血同源(せいけつどうげん)」と言います。

ですから、
大音量で音楽を聴き続けると精気が大量に消耗し、
血液がそれを補うために精気に変化し続けます。

そして、この状態が長期間続くと、
両方とも不足してしまうことになるんです。

ちなみに、血液が不足したことにより心神を損なったときは、
不眠や多夢、健忘(物忘れ)、
イライラしやすいなどの症状が出てきます。

音楽は、適度な音量で聴けば、癒しになります。
音楽を聴いて精神不安定になってしまうのは、本末転倒です。

何事も、過ぎたるは及ばざるが如しって
ことなんですね。

皆さん、適度な音量で音楽を楽しみましょう。

イヤホンの音量は控えめに!【前編】

こんにちは!十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今日は、イヤホンで音楽を聴き過ぎると
妊娠機能の維持やアンチエイジングに最も大切な
腎機能を損ねるというショッキングなお話を
したいと思います。

つい先日、電車の中で
すごい大音量で音楽を聴いている男性がいました。
どんな音楽を聴いているのか、
イヤホンからはっきり分かるくらい。

電車の音に負けないくらい
音量をあげて聴いていたのでしょうが、
その方の将来が少し心配になってしまいました・・・。

中国の明の時代、「益齢単(えきれいたん)」という
健康維持法の専門書が著されました。
そこには、長い間やり続けると健康を損なうとされる
6つの行い「六久(ろくきゅう)」が書かれています。

そのうちの一つに
「久聴(きゅうちょう)」というものがあります。

「久聴」とは、すなわち
「長時間聴きすぎる」という意味です。

そして、その「久聴」は
「精気と心神を損なう」と記されています。

今回は、「精気を損なう」について
お話ししたいと思います。

 

◆久聴は精気を損なう

最近は、スマートフォンでも手軽に音楽を
楽しめるようになりました。

電車の中や歩いているとき、
イヤホンで音楽を聴いている人が多いですよね。
私自身、疲れて家に帰るときは、
電車内でときどき使っています。

ただし、音量は控えめにして・・・。

なぜなら、大音量で音楽を聴き続けていたら、
精気はあっという間にすり減り、
腎機能に影響が及んでしまうからです。

 

1.精気と腎と耳の関係

中医学でいう「腎」は、
西洋医学の「腎臓」とは少し違った概念です。

中医学では、「腎は精(せい)を蔵す」と言われています。
「精」とは、すなわち「精気」のことです。

この「精気」は、この世に生を受ける前の段階で
両親からもらい受けるパワーのようなものです。
そのため、「先天の精」という呼び名もあります。

これは、人体そのものを構成し、
各機能を支える基本物質です。
つまり、生命エネルギーの「おおもと」とも言える
大切な体内物質ということになります。

また、髪や歯・骨髄生成の基となり、
脳を養い、耳の機能を支え、
人間の成長と老化に大きく関わります。

「腎に蔵されている精気」という意味で
「腎精(じんせい)」とも呼ばれます。

さらに、「腎は生殖を主(つかさど)る」とされ、
腎精の持つエネルギーをもって生殖機能を主管し、
新たな生命を産み出す基ともなるのです。

男女の「腎精」が交わることで
新たな生命が誕生するというのが、
中医学の考え方なんですね。

そして、その大切な「腎精=精気」によって
滋養されているのが、耳なのです。

 

2.「久聴」で精気を損なうと…

では、話を久聴に戻しましょう。

繰り返しになりますが、
耳は腎に蔵されている「腎精=腎の精気」によって
滋養されています。

つまり、耳で音を聞くという生命活動は、
実は生命エネルギーの「おおもと」である腎精を
燃料として消耗しながら
行っているということです。

さらに、上述のとおり腎精は
「成長と老化」に関係するのですから、
イヤホンで耳を酷使していると
腎精が人よりも早くすり減り、
老化を早めてしまいます。

電車の中で大音量で音楽を聴いていた男性、
そんなに高齢には見えませんでしたが、
髪のほとんどが白髪でした。

腎精は、髪生成の基でもありますから、
十分に髪が滋養されなくなり
早く白髪になってしまったのかもしれませんね…。

なお、妊娠を希望される女性は、耳の酷使にご注意ください。
男女の「腎精」が交わることで
新たな生命が誕生します。
両親の腎精のパワーが強ければ強いほど、
丈夫な子供が産まれます。

我が子に分け与えるパワーをなるべくすり減らさないように…。

次回は、「久聴」で損なうもう一つのもの、
「心神」についてお話します。

便秘に悩む女性の味方 ホウレン草

こんにちは!
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

当院にお越しの患者さんは、8割が女性です。
そして、そのほとんどが便秘に悩んでいらっしゃいます。

便秘も鍼灸で改善するのですが、
今日は便秘によい食べ物の話をしたいと思います。

タイトルにもあるように、
ホウレン草は便秘に効果のある食べ物です。
中国では、数百年前から妊婦の便秘に
薬としても用いられてきたようです。

栄養学的にも、
ホウレン草は、緑黄色野菜の中でも栄養価が抜群に高く、
鉄分や亜鉛を多く含んでいるため、
貧血にも効果があります。

さらに、豊富に含まれる食物繊維が、
胃腸をキレイに掃除してくれるんですね。

まさに、ホウレン草は、
貧血や便秘に悩む女性の味方ともいえる
食べ物なんです。

しかし、
どんな方にも良い効果があるとはいえません。
それは、ホウレン草は「寒」の性質を持つ食べ物であるため、
身体を冷やす作用があるからなんです。

だから、身体が冷えていてお腹を触るといつも冷たい方や、
舌が紫色をしている方、
便の出始めは出にくいのに
出始めると軟らかい便がズルズルと出てくる
といった便秘の方には、ホウレン草は適しません。

なぜなら、上記の症状がある方は、
身体が「寒」の方に傾いているからです。

「寒」に傾いた方が「寒」の性質を持つ食べ物を食べると、
より「寒」の方にバランスが崩れてしまいますよね。

ホウレン草は、
イライラしやすい方、舌が真っ赤な方、目が充血しやすい方、
排便時に肛門に灼熱感を感じる方の便秘に効果があります。

これらの症状が出る方は、身体が「熱」に傾いているからです。

もし、「寒」に傾いている方がホウレン草を食べる場合は、
かつお節をまぶして食べるようにすると良いでしょう。
カツオは、「温熱」の性質を持った食べ物ですので、
ホウレン草の「寒」の性質を中和してくれます。

万人に共通する健康法や、万人に良い食べ物はありません。
それぞれの体質に合った食材を選んで
摂取できるようになるのが、理想なんですね。

これからも、このように飲食物の持つ性質をご紹介しながら、
健康的な食べ方を解説していきたいと思います。

ご参考になれば、嬉しいです。